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◆2018年10月22日

モスバーガー、O121感染で大規模食中毒…崩れるモス品質、生鮮野菜の大腸菌検査怠る

今年、歴史的な猛暑に見舞われた日本で、外食産業に衝撃を与える大規模な食中毒がたて続けに発生した。

まず、8月10日から23日の間に、関東・甲信地域のモスバーガー19店舗を利用した28人が腸管出血性大腸菌O121に感染し、このうち2店舗が行政処分を受けた。さらに8月31日から9月3日にかけて「すかいらーく」運営の回転寿司チェーン店「魚屋路」の21店舗で寿司を食べた115人が腸炎ビブリオによる食中毒になり、21店舗が行政処分を受けることになった。原因食材は中国産の生ウニであった。
この2つの食中毒が外食産業に衝撃を与えたのは、日本を代表する外食チェーンで起こったためであった。モスバーガーは安全へのこだわりを売りにして、「商品の『安全』にもとことんこだわるのがモス品質」と公式サイト上に掲載。そして、国際規格(ISO22000)に準じて「モスバーガーの商品にかかわるすべての工程を管理しています」としていた。同規格は、「HACCPの食品衛生管理手法をもとに、消費者への安全な食品提供を可能にする食品安全マネジメントシステム(FSMS)の国際規格」であり、モスバーガーは外食産業としては真っ先に導入したのである。

同規格では食中毒の発生を防げなかったという事実に、外食産業は大きなショックを受けているのである。モスバーガーは「現時点においても感染源および感染経路の特定には至っておりません」(10月3日付「食中毒事故の経過と再発防止対策について」)としながらも、非加熱食材(野菜類)を中心に対策を強化しているとして、野菜のO121汚染を示唆している。
そして、対策強化策のなかで、食中毒を発生させた原因の一端が明らかになっている。それは、生鮮野菜の検査について「サンプル品による一般生菌、大腸菌群、大腸菌、腸官出血性大腸菌O157、O121を追加」としている点である。要するに、生鮮野菜のこれらの検査をしていなかったのである。そのことにより、O121汚染の野菜流入を防げなかった可能性がある。
輸入食品の検査率、わずか8.4%

一方、魚屋路の食中毒は、腸炎ビブリオに汚染されていた中国産生ウニによるものであった。魚屋路はHACCP等の認証は取得していなかったものの、HACCPに準じて一般衛生管理に加え作業手順書の作成や調理にかかわる各種記録等を作成するなどの衛生管理をしていた。もともと、すかいらーくは総合品質保証部長が食品安全委員会の専門委員になるなど、政府の食品安全行政ともかかわってきた。そして、食の安全安心への取り組みとして次のように述べている。

「すかいらーくグループには品質保証部という部門があり、当社の品質の定義である、『食品からお客様の生命を守るあらゆる行為』を達成するための業務を行っています。(略)店舗・工場の抜打ち衛生検査、(略)そして、安全な商品をお客様へ提供するために、全国のセントラルキッチンを網羅しているのが全国8か所にある検査室です。ここでは主に、細菌検査、店舗・工場の衛生検査等を行い、お客様へ提供する食品が安全なものであるかをチェック。細菌検査は食品毎に基準値を設定するため、約170種類の検査基準があります。外部から購入する原料・製品、自社工場で製造する商品、店舗で下ごしらえする商品のそれぞれに細菌基準値を設定。また、新規導入前に行う『先行検査』、導入後に行う『抜打ち検査』、日々行う『日常検査』を検査の3本柱と呼び、毎日細菌検査を実施しています。」(同社ホームページより)

HACCPや高度な衛生管理をしていても、食材が汚染されていた場合は、食中毒を回避できない。回避のためには、食材の徹底的な検査が不可欠である。しかし、そこはコストがかかるわけで、利益を優先すれば、どうしても検査が不十分になってしまう。
さらに問題は、この中国産ウニは過去たびたび腸炎ビブリオ汚染を指摘されてきたことである。2003年には、中国産ウニが腸炎ビブリオに汚染されていたとして輸入時の検査を義務付ける命令検査の対象にされた。その後も、14年、15年と中国産ウニが命令検査対象となっていた。要するに、いわくつき危険な食材なのだ。しかし、17年と18年は、中国産ウニは命令検査の対象とはならず、ついに大規模な食中毒事件を引き起こしたのである。すかいらーくも中国産ウニのような危険な食材を取り扱う以上、食材の徹底的な検査をすべきであった。

現在、日本は食料自給率38%、6割近くを輸入に依存している。そして、政府の輸入時の輸入食品の検査率は、わずか8.4%で、9割以上が無検査で輸入されている。この問題を解決しなければ、これからも外食産業がHACCPをいくら導入しても、日本における大規模食中毒事件は、何度でも繰り返されることになりかねない。
(文=小倉正行/フリーライター)

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